ネガティブ感情は消さなくていい|コーチングで変わった3つのこと

仕事から帰ると急に涙が出てくる。子どもと遊びながら頭の中では「明日の会議どうしよう」がぐるぐる回っている。何かイライラする。でもその原因がよくわからない——。

あなたにもそんな夜、ありませんか?

「感情的にならなければよかった」「もっと冷静でいられたら」。そう思うたびに、ネガティブな感情を「消すべきもの」として扱ってきませんでしたか?

こんにちは、産業医でコーチの「旅するママ産業医えりぼ」です。0歳と2歳の子を育てながら産業医として働き、今はコーチングを本格的に学んでいます。今日は、コーチングを学ぶ中で私自身が気づいた「ネガティブ感情との向き合い方の変化」についてお伝えします。

この記事でわかること:感情を消そうとするとなぜしんどくなるのか、感情を「情報」として使うとはどういうことか、脳の雑音が静かになるとどう変わるか。

ネガティブ感情を「消す」ことに消耗していた

コーチングを学ぶ前の私は、自分の感情をコントロールすることにすごくエネルギーを使っていました。

「この状況でイライラするのはよくない」「もっとポジティブに考えなきゃ」「悲しくても仕事だから切り替えよう」——。

産業医として「感情に振り回されてはいけない」という意識も強かったと思います。患者さんの前でフラットでいることは大切ですし、専門家としてのプロフェッショナリズムにプライドも持っていました。

でも、感情を押さえようとするたびに、頭の中はどんどんにぎやかになっていく。「本当にこれでよかった?」「あの反応、傷つけてしまったかな」「私、向いてないのかも」——そんな内なる声が休憩中も、お風呂の中も、就寝前も続くんです。

産業医面談でも、「感情をコントロールしようとして疲弊している」という相談はよく聞きます。真面目で責任感のある人ほど、感情を「管理するもの」として扱いがちです。

でも、コーチングを通じて私はこれが大きな誤解だと気づきました。

コーチングで変わった3つのこと

① 感情を「情報」として受け取れるようになった

コーチングでは、感情をジャッジせずにそのまま認識することを「観察」と呼びます。

「私は今イライラしている」——ただそれだけ。「なぜイライラするのか」を追いかける前に、まず自分がその感情を持っていることを認める。

コーチングを学ぶ中で、ある日自分がひどくネガティブな気持ちになっていることに気づいたとき、「消そう」ではなく「なんでこの感情があるんだろう」と問いかけてみました。

すると——脳内の雑音が、スッと静かになりました。

感情に抵抗するのをやめて、ただ「見る」だけにしたとき、感情はそれ以上うるさくなりませんでした。「この感情は、何かが大切だと自分が知らせているサインだ」と受け取れるようになったんです。

② 「課題の本質」が見えやすくなった

感情を情報として扱えるようになると、次に起きたのが「本当に向き合うべきことが見えてくる」という変化です。

会議前に強い不安を感じたとき。以前なら「不安になっちゃいけない、大丈夫大丈夫」と打ち消そうとしていました。でも今は「この不安は、自分が準備不足を感じているサインかもしれない」と受け取れる。

その不安が教えてくれたことを確認したら、「もう一度データを確認する」という具体的なアクションが生まれました。不安がなければ、そのアクションには気づけなかったかもしれません。

医学的に言えば、感情には「扁桃体が危険を察知して出すアラート」という機能があります。これを抑圧し続けると、アラート機能そのものが過敏になることがあります。アラートをきちんと受け取ることで、扁桃体は落ち着きやすくなるんです。

③ 「頑張らなくていい」という許可が、自分に出せるようになった

コーチングを学ぶ中で「自分の感情にOKを出す」練習を繰り返すうちに、「しんどい」「疲れた」「今日は限界」という感情を持つことへの罪悪感が薄れていきました。

産業医として多くの面談をしてきた私でも、「疲れた」を認めることが難しかった。「まだ頑張れるはず」「他の社員さんの方がもっと大変」——そう比べることで感情を押さえていました。

でも感情に「OK」を出せるようになると、不思議なことに「じゃあ今日は何をやめようか」と具体的な問いが自然に浮かぶようになりました。感情は「休め」というシグナルだったんです。

脳の雑音が静かになると、何が変わるか

コーチングを通じて体感したのは「脳内の声が静かになる」という感覚です。

以前は、何かあるたびに「あれはよかったのか」「もっとこうすべきだった」「これから先どうなるんだろう」という声が頭の中で絶えず動いていました。

でも感情を観察する練習をすることで、その声がだんだんと落ち着いていきました。全部消えるわけではないけれど、「あ、今不安の声がしてるな」と気づけるだけで、声に飲み込まれる感覚がなくなっていく。

以前、社員さんにこのアプローチを伝えると「少し楽になりました」と言ってもらえたことがあります。「感情をなんとかしなきゃいけない」から「感情は情報」に切り替えるだけで、脳への負担が変わります。

まとめ

ネガティブな感情は「消すもの」ではなく、「受け取るもの」。コーチングを通じて気づいたのはそのことでした。

感情を抑えようとするエネルギーを、感情を観察することに使うようにしたら、脳の雑音が静かになり、課題の本質が見えるようになり、自分に「頑張らなくていい」を許せるようになりました。

今日からできること:ネガティブな感情を感じたとき、まず「今、私は○○を感じている」と心の中で一度だけつぶやいてみてください。消さなくていい、理由を探さなくていい。ただ認めるだけでいい。

そして、毎晩その日に起きたポジティブな感情とネガティブな感情の両方をメモするといいかもしれません。感情をアウトプットすることで頭のリソースが少し空くし、後から自分の気分の波を振り返る判断材料になります。

えりぼ