「妊活してます」と言えない職場で、私たちにできること

「妊活してるんです」と、なかなか言えない。生理周期に合わせて通院の予定を組みたいのに、有給を申請する理由を毎回考えてしまう。同僚には「ちょっと体調不良で」としか言えず、後ろめたさだけが積み重なっていく——産業医面談の場で、そんな声を本当によく聞きます。

私はごきげんママ産業医として、日々働く女性たちの声に耳を傾けながら、同時に「妊娠する前からの健康管理」であるプレコンセプションケアの大切さも伝えています。

この記事では、妊活と仕事の両立に悩んだときに知っておいてほしい視点と、今日から変えられる小さな一歩をお伝えします。

プレコンセプションケアは「妊活中の人」だけのものじゃない

プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えるすべての人が、妊娠前の段階から自分と将来の家族の健康に向き合うという考え方です。妊娠を考え始めてから慌てて生活習慣を整えるのではなく、睡眠・食事・ストレスケア・定期的な健康診断といった土台を早めに整えておくほど、その後の選択肢は広がります。これは女性だけのテーマではなく、男性の生活習慣も同じくらい関係しています。「妊活=不妊治療をしている人の話」というイメージが強いせいで、まだ妊活を考えていない20代・30代前半の人には関係ないと思われがちですが、本来はもっと手前の段階から、すべての働く人に関わるテーマです。

産業医面談でよく聞く「言えない」の声

産業医面談では、月に2〜3件ほど、不妊治療と仕事の両立に関する相談を受けます。共通して多いのは「治療そのものより、会社に本当のことを言えないのがつらい」という言葉です。通院のたびに理由をごまかすための小さな嘘を重ね、周囲に気づかれないよう気を張り続ける。この緊張感が、治療による身体的な負担と同じくらい心身を消耗させているケースを何度も見てきました。妊娠のしやすさには大きな個人差があり、年齢だけですべてが決まるわけではありません。だからこそ必要なのは「早く産んだほうがいい」という無言のプレッシャーではなく、通院や体調の波と付き合いながら働き続けられる環境そのものです。

会社にできること、自分にできること

大がかりな制度を一気に整えなくても、始められることはあります。

  • 本人ができること:まずは上司・産業医・人事の誰か一人にだけ状況を共有し、通院日を事前に伝えられる相手をつくる
  • 会社ができること①:「不妊治療」と名言しなくても使える、通院・体調不良向けの柔軟な休暇枠を用意する
  • 会社ができること②:管理職向けにプレコンセプションケアや不妊治療の基礎知識を伝える研修機会を設ける

こうした小さな仕組みが一つあるだけで、「言えない」を抱えたまま働く人の負担は大きく変わります。実際、こうした基礎知識を管理職が知っているだけで、部下が相談しやすくなったという声も少なくありません。

妊活と仕事の両立は、本人の頑張りだけで解決できる問題ではありません。社会が支える仕組みがもっと充実しないことには・・

今日からできることとして、まずは自分の状況を話せそうな相手を一人だけ思い浮かべてみてください。それだけでも、抱えている緊張感は少し軽くなるはずです。

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