「疲れが取れない」働く母へ、産業医が伝える眠りの整え方

「布団に入って、ちゃんと寝ているはずなのに、朝起きても体が重い」——そんな感覚、ありませんか。

子どもの寝かしつけ、たまった家事、明日の仕事の段取り。気づけば自分がどれだけ疲れているかを確かめる余裕もないまま、また一日が始まる。

休みの日にまとめて眠っても、月曜の朝にはまた同じ重さが戻ってくる。

産業医として働く女性の面談をしていると、この「寝ても疲れが取れない」という相談に、本当によく出会います。

産業医として企業で面談をしながら、コーチングと温泉療法(湯治)を学び、2児を育てているワーママでもあります。

この記事では、「寝ても疲れが取れない」がなぜ起こるのかを医学的な視点から整理したうえで、面談で実際によく聞く声、そして今日から始められるセルフケアをお伝えします。

なぜ「寝ても疲れが取れない」のか

睡眠時間は足りているはずなのに疲労感が抜けない背景には、自律神経の乱れが関係していると言われています。

日中ずっと交感神経が優位な、いわば「緊張・警戒モード」が続くと、眠っている間も脳や体が十分な休息モード(副交感神経優位)に切り替わりにくくなるためです。

特に、寝る直前までスマホでメッセージやタスクを確認したり、頭の中で翌日の段取りを考え続けたりする習慣がある方は、体は横になっていても脳が休めていない、ということが少なくありません。朝起きた瞬間からすでに「今日のToDo」が頭に浮かんでしまう、という方も同じサインです。

もちろん睡眠不足や貧血、甲状腺の不調など他の要因が隠れていることもあります。

強い疲労感が2週間以上続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、セルフケアだけで様子を見ず、医療機関への相談も選択肢に入れてください。

産業医面談でよく聞く声

面談の場では、「休日に丸一日寝ても疲れが取れない」「本当は疲れているのに、じっとしていると落ち着かない」「疲れているはずなのに、夜になると目が冴えてしまう」といった声をよく聞きます。

共通しているのは、自分が疲れているサインに気づきにくくなっていること、そして疲れを感じても「休む」という選択肢がなかなか浮かばないことです。

忙しい毎日のなかでは、多少の不調は「気合いで乗り切るもの」として後回しにされがちです。

ですが疲労は蓄積すると回復にかかる時間も長くなっていくため、「まだ大丈夫」と思っているうちからケアを始めておくほうが、結果的には近道になります。

実際、面談の場で「早めに相談してよかった」という声を聞くのも、たいていこのタイミングで動いた方です。

逆に、限界まで我慢してから相談に来る方ほど、回復までに時間がかかる傾向があるように感じています。

今日からできるセルフケア3つ

特別な道具もお金もかけずに、今日の夜から試せることを3つ挙げます。どれか1つだけでもかまいません。

  • 寝る1時間前はスマホを手の届かない場所に置き、部屋の照明を少し落とす
  • 湯船に10〜15分浸かり、深部体温を一度上げてから下げる(自律神経を切り替えるスイッチになると言われています)
  • 目を閉じる前に「今日できたこと」を1つだけ思い浮かべる

3つ同時にやろうとすると続きません。まずは今日、いちばん取り入れやすそうなものを1つだけ試すのがおすすめです。

温泉・湯治というセルフケアの選択肢

なかでも入浴・温泉は、道具も予約もいらない、いちばん身近なセルフケアです。

温泉地でゆっくり過ごす「湯治」には、ぬるめのお湯に繰り返し浸かることで自律神経が整いやすくなると言われています(効果には個人差があります)。

忙しい毎日のなかで、いきなり湯治旅行に出かけるのは難しくても、まずは自宅のお風呂を「体を洗うだけの場所」から「自律神経を切り替える時間」に変えてみることから始められます。シャワーだけで済ませていた日を、週に1回だけ湯船の日にしてみる。それだけでも体の感覚は変わってきます。

疲れが取れないのは、気合いや根性の問題ではなく、自律神経が休息モードに切り替わりにくくなっているサインかもしれません。

今日からできる行動として、まずは寝る前の湯船10分から始めてみてください。

子連れ湯治・温泉好きのためのコミュニティを準備中です。お風呂で整える暮らしのヒントは、Instagram(@remother.jp)でも発信しています。よければのぞいてみてください。