コーチングを学ぶ中で気づいたことがあります。コーチングも産業医の面談も、最終的には目指していることが同じだということです。
簡単に言えば、カウンセリングとコーチングでは一般的にマイナスから0と0からプラス、と位置付けられています。
産業医面談の対象者は基本的に働いているわけですから、基本的にコーチングは有用と思っています。ただ、休みが必要となるいわゆる0付近の方も多いです。
特に適応障害は誰もが発症しうる障害で、人生の目的や働く意義、自己理解がそもそも不明確だとそれ自体がリスクなんじゃないかと思っています。
コーチングは「自分で答えを見つける力を引き出す」ことを目的にしています。産業医面談は、就労判定が主な役割ですが、それだけではなくご本人へのアドバイス、そして場合によってはコーチング手法によって、色々な気付きを直接促すこともできます。
この気づきは、自分の産業医としての仕事の捧え方を少し変えました。
産業医面談で起きること
面談では「どうすればいいですか?」と聞いてくる方がいます。
産業医として具体的なアドバイスができる場面もありますが、多くの場合、当事者は既に答えに近いものを持っています。「本当はどうしたいと思いますか?」「それを妃げているものは何だと思いますか?」と問うだけで、相手が自分で整理していくことがよくあります。
医学的に正しくない方向へ向いてればそこは指摘するのが務めですが、基本的には動機付け面接は有用でしょう。
コーチングを学んでから、このアプローチも場合によっては意識的に使うようになりました。
コーチングの核心は「質問」
コーチングの基本は質問です。「あなたはどう思うか」「そのとき何を感じたか」「理想の状態はどんなイメージか」——こうした問いを通じて、自分の思考が整理されていきます。
いかに、相手の心に残る、ハッとさせる、感動を与えるか、に腕が試されるんではないかと考えています。
コーチングを学ぶ過程で自分自身が感じたのは、「ネガティブな感情が整理され、脳内の雑音が消えていく感覚」でした。答えを教えてもらうのではなく、自分で考えた結果だからこそ、行動につながりやすい。
「正解を教えること」だけではなく「考える機会をつくること」
健康管理やストレス対処の正解は、人によって違います。「こうしなさい」と言っても、その人の生活に合わなければ続きません。
コーチングも産業医面談も、「その人にとっての正解を自分で探すプロセス」を支援するものだと今はとらえています。「先生に言われたからやる」より「自分で決めた」という感覚の方が、行動が長続きします。
今日からできること
何か悩んでいることがあれば、「どうすればいい?」と問う前に、「私はどうしたい?」と一度自分に問いかけてみてください。その問いへの答えが、あなたにとっての出発点になります。